Access製造・受注・納品請求管理システム-開発トラブル後任
この相談は、既に動作しているAccessシステムでもなく、これから新規に開発というシステムでもありませんでした。
それは途中経過のAccessシステムでした。
ご相談者はお知り合いか取引先からか、あるAccessシステム構築の業者を紹介されたそうです。進行にあたり開発費は全額前払いだったそうです。
ご相談者のお話では、仕様を相談ヒアリングする担当者と、実際に開発している人が違うようだったとのことでした。
そして開発途中で、仕様内容で言った言わないで頓挫し、そのまま1年くらいダラダラ引きずってきてしまったようです。
ご相談者が作られたシステムを確認し、運用上の機能不足、内容の行き違いと思われる箇所を、開発依頼会社に画面コピーと注釈を書いてFAXで送ると、その紙の上に、ご丁寧というか乱暴というか・・・1枚1枚に筆字で大きく「追加料金が発生します」とだけ書いて返信してきたのを見せていただきました。
ご相談者もやや年配の方だったのでお気の毒にも感じました。
相談過程での言った言わないは具体的には把握できませんので何とも言えないのですが、追加料金云々の前に、その段階でのシステムは、そこまで作られた機能もまともに動作していないものでした。
顧客管理もご相談者側で別途顧客コードを管理しているにもかかわらず2重で登録できたり、定期注文の登録部分も、同じ年度でいくつも登録できてしまうという致命的な作りでした。
納品書に関しては、定期注文分は毎月一括で約300社分を出す必要があるのですが、どこを見渡してもそれらのデータを生成、手入力する機能すらありませんでした。また定期注文とは別の非定期の注文の納品書についても入力・出力はできたのですが、請求書の一括発行で、同じ顧客でも、定期と非定期では別々の請求書になってしまいます。明らかにおかしな作りでした。
おそらく言った言わないの問題ではなく、開発側に販売管理の知識が皆無ということが第一原因だったと思われます。
後任としての弊社のサポートは、
- 定期注文の2重登録など、データの整合性を崩すような機能を洗いだし修正。
- 定期注文の月次自動納品書データ一括生成(300社以上)機能を新規作成。
- 追加注文の納品書管理機能の新規作成。
- 顧客情報検索の改善。登録での整合性を修正。
- 請求書の締め処理機能作成。
- 製造年間計画表作成。
- 月次売上レポート作成
完成したシステムだけ見れば、全体のボリュームの約1/2以上を作り込む必要がありました。既存機能のおかしな動作の部分の作り直しもありますのでそれ以上となります。
この結果、
- 適正な定期注文管理。
- 顧客情報の整合性と、情報参照のスピードアップ。
- 定期、非定期注文の納品書、請求書の簡易でスピーディな発行。
- 追加注文における顧客毎の自動価格参照。
- 定期注文からの年間製造数レポートによる製造計画で、不足、無駄のない製品製造。
- 売上レポートによる経営資料。
などを楽に、スピーディに、正しく処理できるようになっていただきました。
最初に依頼した開発会社をネットで調べてみると、Googleのキーワード広告にも積極的に出していて、少なくともホームページだけを見れば信頼のあるイメージの会社でした。
ご相談者のほうは、少し年配の方ながら、少なくとも弊社でのご相談過程では、言ったことは言った、言っていないことは言っていないと、大変しっかりした方でした。
この開発会社も決して悪徳会社ではありません。では、どこにこのような問題が発生する要因があったのでしょうか?
やはり業務システムの開発では、その業務をしっかり把握していない人間が構築するといくら技術力があってもそうなる危険性があるということではないでしょうか。
もしその業務に精通した技術者であれば、相談者が言っていないことでも、「こんな処理が必要ですが大丈夫ですか?」「この機能は実際には入力しきれませんよ」など、打合せ段階で提案できるはずです。さらに言えば、その会社の運用メンバーも考慮します。例えば、入力する人が年配であったり、パソコンにどれだけ精通しているかも重要なファクターです。
今回の例では、仕様のヒアリングの担当者が別にいたということですから、仮に、開発するプログラマーに業務知識がなくても、仕様をまとめる担当者に業務知識があれば、このような問題も発生しなかったことでしょう。これはそこそこの規模の開発会社ではままあるケースで、弊社の過去相談事例では一部上場のシステム会社でもありました。これくらいの企業になると、そういったケースでのリスク回避のための契約を交わしていることが多いので、どちらがいい悪い関係なく、追加料金を払わないとそのまま進行が止まりっぱなしという事例を目にしています。
2012年12月15日 |
カテゴリー:Access業務管理開発サポート事例
WebシステムからAccessシステムへ(アクセスの強み)
ある企業の営業部からのご相談で、既存の予約管理WebシステムをAccessで作り変えたいというご要望がありました。
IT技術の流れからすると逆のような気がしますが、これもユーザーサイドから考えてみると理解できる話です。
まずWebシステムでは、操作する人がわかりやすい・使いやすい画面(ユーザーインターフェイス)をつくること自体が意外と手間と時間がかかるケースが多くなります。昨今はAJAXという技術で、jQueryなどのライブラリを活用することにより、使いやすい画面をWeb上で作ることが楽になってきましたが、それでもAccessやVBなどで作るものよりはまだまだ難易度が高いのではないでしょうか。ただしAccessで作成された画面を一般公開するようなWebなどで利用されることはありませんが、Webシステムは公開システムでも社内だけのネットワークでも利用されることが多々あります。
ご相談者の仕事は主に電話で、顧客から予約をとったり既存の予約情報を参照したりと、ダイレクトに顧客からの問い合わせに応答しなければなりません。そのため、わかりやすく、スピーディに動作するシステムが各担当者からの要望で、既存のWebシステムではまだまだブラッシュアップが必要でした。
もちろんWebシステムでも細かな要望に合わせ、ブラッシュアップしていけばかなり使いやすくなるはずです。しかし、システム開発は見た目以上に手間のかかる仕事です。細かな要望をWebシステムで気楽にブラッシュアップしてゆけるかというとそうはいきません。ちょっとした修正にも時間がかかったり少なくない費用がかかったりします。それで既存のWebシステムはその要望スピードと柔軟性に合わず、さらに費用がかさむという結論になったようです。
そこで開発効率が非常に高く修正も容易なAccessで作り直したいというお話になりました。開発効率が高いため、使いやすい操作画面の実現、機能の追加修正もWebシステムと比較すればかなり楽にスピーディにできます。
またAccessの古くからのウィークポイントだったファイルの脆弱性、複数ユーザーでの共有利用も、OSの安定、LANのスピードアップ、Accessの内容向上により、かなり高い安定性を持つようになりました。他の様々なご相談の過程でユーザー自身が作ったAccessの中身をよく拝見しますが、これは危険だろうというような作りでも、複数の共有であまり問題を出さずに運用しているのをよく見ます。
Webシステムでの長所である、ブラウザさえあればシステムが使えるというメリットも、Windows限定でなおかつインストール作業が必要ですが、Accessで作られたシステムを”動作させるだけ”の無償Access・・・ランタイム版というのも提供されていますので、Accessで作られたシステムを動作させる(データ入力・出力含め)だけであれば別途ソフト費用はかかりません。また通常の製品版Access自体も実売で1万円前後とかなり安くなっています。さらにインターネットの実効速度アップから、インターネットVPNを施設して遠隔地拠点とのAccessシステム共有が実用的になっています。
過去を遡ると、顧客管理や販売管理などの市販ソフトを導入したが、使いにくい、わかりにくい、操作が難しいという理由で、Accessでのシステム構築依頼が多々ありました。そこで思うのは、現在広まりつつあるクラウドシステムも、本当に使いこなせ、会社の利益になるシステムというのは絞られてくるのではないでしょうか。
もしお客様からの予約を直接サイトで受ける予約管理ならばWebでの仕様が必須になりますが、今回は営業担当者がいてその方々が電話などで予約管理する業務スタイルのシステムです。
現在、スマートフォン、タブレットが急速に広まってきています。これらでの活用を念頭に置くなら、やはりWeb対応が必須になってくることでしょう。
このご相談で構築させていただいたAccessシステムも早、約10年近くとなりますが、未だに現役で使いこなしていただいています。
2012年12月5日 |
カテゴリー:Access業務管理開発サポート事例
AccessからExcelデータ加工生成
システムを構築するからには、ワンボタンで要望の情報やレポート資料が出せれば理想です。しかしAccessといえど何から何までシステムで生成させるのはその分構築費用がかかります。
また、その出力レポートの修正が必要になったり、新しい情報出力がほしいというような場合も修正や新規構築が必要になります。
そこで、日付期間、顧客、商品などの必要な基本条件で絞れるようにしておき、全データ項目でExcel出力するようにしておきます。
そうすればあとは勝手知ったるExcel知識だけで、そのデータを元に表を作成したり、グラフを作成したりできます。
その形でのデータ加工であれば、元のAccessデータには影響しませんので、営業・販売レポート作成などによく活用されます。
あるご相談では、それよりは少し複雑なご相談でした。
会社にはAccessとは別の統合販売管理システムがあり、上記のAccess例と同じように、その統合システムから販売基本データ全項目で日付範囲指定でExcelデータに落とすことができました。
ただしこのデータの商品名が、手入力したまま、あるいはマスターの重複のせいか整合がとれず、同じ商品でも一文字違いで別の商品となってしまったり、この統合システムでは算出できない特別商品の原価金額など、経営資料としてそのまま集計すると合わない部分が出てきてしまっていました。
これを、毎月手作業で修正しながら経営レポートを作成されていましたので、実際の集計作業前の準備段階にかなり時間をとられていました。
そこで、
販売管理システムから生成されたExcelデータをAccessで自動取込みし、手作業で修正していたデータ加工を取り込みと同時に自動算出修正したものをExcelで再生成させ、前段階の修正作業や原価計算を完全に省略できました。
当然ながらその後工程の経営集計レポートもAccessで出力することは可能ですが、予算実績管理、販売分析、個人、営業所成績レポートなど、様々な切り口で作成する必要があり今回は前段階処理までの構築となりました。
なにより直接的な経営資料作成は創造的な仕事ながら、今回のような前段階の加工修正特に部分部分の修正が必要な場合は、非創造的で非常にストレスの溜まる仕事となります。このストレスをクリアすることにより社員の創造性、業務効率をアップし、さらに有意義な経営資料作成のエネルギーとなることでしょう。
さらにこのExcelデータ加工システムと、もう一つ別に構築させていただいたAccess顧客情報管理システムのデータファイルをVPNで繋がれたサーバーの共有ファイルに置くことにより、各営業所の担当者が全社統一レポートとは他に、各営業所独自の経営・営業資料作成に活用することができるようになりました。そして顧客情報を全社で共有することができるようになりました。
こちらは海外にも支店があり、そちらからも本社サーバーの共有フォルダにアクセスできますので、これらAccessシステムを世界の営業所で同時に利用できることになります。またインターネットを通した共有とはいえ暗号化、トンネリングなど閉じられた遠隔ネットワーク-VPNのためセキュリティ面でも安心です。
2012年12月4日 |
カテゴリー:Access業務管理開発サポート事例
ASP・SaaSをフォローするAccess勤怠情報集計補助システム Sonyインターネットタイムレコーダー
SaaSとは、インターネット上のサーバーに、データストアだけでなくアプリケーションまで提供するスタイルです。これまでのソフトは利用するパソコンにインストールして利用していたが、SaaSではパソコンはサーバー上のシステムを利用するので、一般的にはホームページを表示できるブラウザさえあれば利用できるWebシステムの形態です。これにより、提供側はユーザーに不具合箇所および改善点した箇所を一斉に提供でき、ユーザーも高機能で進化してゆくシステムを安価に利用できるというメリットが生まれます。 今後広まってゆくSaaSの足りない部分を補うツールとしてAccess開発させていただいた事例です。
今回サポートしたSaaSは、ソニービジネスソリューション(株)が提供するITR(インターネットタイムレコーダー)で、一般に会社に置いてあるタイムレコーダーを、インターネット上に置いて、Fericaやパソコンなどで打刻し、そのデータを自動的に管理し、集計や、給与計算ソフトなどで取り込めるようなデータに加工できるようなシステムです。
SaaSのスタイルで提供することにより、本支店間連携・統合システムを、これまで考えられなかったような費用で利用できることもSaaSのメリットです。給与計算は最終の基本計算?税額・保険料算出、給与台帳、明細出力など、どんな会社でも共通した内容が多く、また制度などの変更により一斉に修正できるSaaSスタイルは、ユーザー側に手間を掛けることなく更新を反映ができることが多々あり、管理者にとっても大きなメリットとなります。
ただ、やはりデメリットというか限界もあります。最初の出勤打刻から就業までの打刻は、それそのとおり、また最終の勤怠データ集計後からの給与計算もほぼどの会社も同じようなものです。ところが、勤務実績による手当て、時給変更など、勤怠データとしての集計は、会社により本当に様々です。この様々な部分が、共通で利用するASP、SaaSシステムの弱点となります。
そこで、これらのSaaSでは、ユーザー側でカスタマイズ可能なものも出てきましたが、やはりそれでも限界があります。そこでデータをCSVで落とす機能が装備されていますので、そのデータを簡易に取り込み、希望どおりの集計を行い、Accessで出力するカスタマイズをさせていただきました。
SaaSでなくても、市販の業務ソフトなどでよく聞いた、「機能が豊富すぎてわかりにくい」、「肝心の機能が実現できない」、「業務にあっていないから使い辛い」などの声が、SaaSが普及してゆくと考えられる中でも十分考えられることでしょう。
・SaaS-ITRからダウンロードしたCSVデータを、ワンボタン、ファイル指定で
取り込みます。取り込みと同時にデータ加工処理をします。
下記のような一般の勤怠管理では無いような独自のレポートを集計加工しました。
・店舗ごとに決められている時給にて、他店舗への応援勤務における時給変更
・勤務実績による研修対象者のリストアップと、研修者時給への変換
・他店舗応援勤務レポート
・深夜0時を跨ぐ場合の勤務日修正処理
・特別集計した結果での給与計算ソフト取り込み用のCSV生成
また別途、ITRではサポートしていない、有給消化と年度新規付与プログラムも構築。
ITRデータの半年間の勤務を集計し、会社の要望、就業規則によるロジックにより、特にパート・アルバイトでは就業実績に応じた有休付与を算出、Accessでの出力とともに新年度の有休日数データをCSVで生成し、それをまたITRに反映できるように加工。
このようにSaaSでは処理できない特別な内容を、CSVデータを元に、カスタマイズしたAccessを媒介として、SaaSの手の届かない機能を補完するシステムは、これまでの市販アプリケーションソフトで見られたような不満から、Accessでフォローできることでしょう。
2011年3月7日 |
カテゴリー:Access業務管理開発サポート事例
Accessベースの販売管理システムの導入サポートとAccess顧客情報管理連携・拡張サポート
多くの商品の通信販売業では、実務作業はけっこうな数をこなさなければなりません。そして新規顧客獲得も当然重要ですが、やはり2度3度と購入してくれるリピータを増やすことが厳しい競争時代に最も重要なことなります。そのためには、販売管理システムによる業務効率化と、それに連動する顧客情報管理機能強化への拡張のお手伝いをしました。
【ご相談前のお悩み・現状】
・売上伝票、納品書、送付状、振替用紙などは手書き。
・売上・粗利は電卓での集計。
・顧客情報管理DBは存在していたが、宛名ラベル発行程度で購買履歴
などの情報管理なし。
・手書きによる作業負担大とミス。人員を増やせばコストアップ。
・販売・経営情報の把握の遅れ。
・個別の顧客情報がよく把握できない。
(優良顧客なのか、ブラック顧客なのか。)
・電話応対時の顧客対応の遅れ。
・ポイントなど他社がどんどん導入しつつある顧客サービスの導入ができ
ない。
【サポートの流れ】
このクライアントとはかなり長い付き合いで、ユーザーの活用度に合わせての段階的導入がうまくいきました。
最初は、某事務機器メーカーに今はどこにも見当たらなくなってしまったロータス社のDBソフトにて、顧客DBを構築してもらっていました。しかし顧客の基本情報だけに限っても、この顧客データベースでは名簿管理程度で管理したいことに限界があり、それ以上の拡張はこの事務機器販売会社では対応できないということで、弊社に相談となりました。とはいえ、その時点においても、大した追加要望でも無かったので簡易にAccessにて再構築し、データを完全に引継ぎご提供しました。
その簡易な顧客データベースも、このクライアントにとっては生命線。隔月の情報誌の送付などでフル活用され、売上を確実に伸ばしてゆきます。
次の段階として、業務効率アップのための販売管理システムの導入です。当然、販売管理システム内にも顧客管理があり、既存の顧客管理システムと別々で運用するような非効率なことはできません。しかしながら市販の販売管理ソフトでは、その会社が最も活用したい形の顧客情報管理の実現は大変難しいのが現状です。
販売管理と顧客管理の連携を実現するために、このクライアントには、SystemWatanabeさんのAcceess販売管理システムを購入してもらいました。このシステムならAccessがベースで、購入すればカスタマイズが可能。その価格も一般な市販ソフトと比較すれば破格で、汎用的な機能はほぼ網羅されています。ただしユーザー側でのカスタマイズはその内容度合いによりAccessの専門知識が必須です。
そのような流れにて、既存の顧客管理をさらにパワーアップしてこのAccess販売管理システムと連携させることができました。
【導入後】
顧客情報と販売管理を完全合体することにより、事務処理の効率化とともにそれらのすべての情報を経営情報のリアルタイム化、問い合わせへの素早い対応など顧客満足の向上、マーケティングへの応用など、トータルで見てかなり戦略的に構築できたと言えるでしょう。
業務運用事情に合わせカスタマイズしていったため、100%を無理にシステムに乗せるのではなく、佐川急便のe飛伝など、日々ブラッシュアップしてゆく外部ソフトで利用するためのCSVデータ生成や、事情により手書きで管理するのがベストな業務のための帳票印刷出力など、最も効率よくわかりやすい方法での運用が可能になった。その結果、スムーズに大量の商品発送、情報発信、事務処理などが、業績を向上させながらも人員を増やさず実現可能となりました。
【構築内容 販売管理システムカスタマイズと顧客管理機能増強】
販売管理システムへの追加カスタマイズ
・日々処理リスト(発送・各種帳票発行)
・入金管理(コンビニ・代引き・クレジットなど)
・帳票印刷
・外部ソフトとの連携 コンビニ振込み用紙、佐川伝票e-飛伝
・日々の売上・利益
・ポイント管理
・顧客情報管理項目強化
・条件検索強化によるリスト表示から宛名ラベル、CSVデータ出力
2011年3月4日 |